破壊的イノベーター

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東京支店のヒノッピーです。 今日はちょっと経済用語のお話し。 破壊的イノベーターって、なんだか物騒な響きですが、 むしろ我々消費者にとっては歓迎できる言葉です。 破壊的イノベーターとは、新しい技術によって、 既存の産業構造をそれこそ破壊的にイノベーションする存在のことを指します。 身近な例でお話しすると、レコードプレイヤーは、 CDという破壊的イノベーターによって産業の構造が大きく変えられました。 CDの登場により、大きなレコード盤は姿を消し、 レコードの針を作っている会社も、 その規模を縮小せざるを得なくなりました。 もちろんレコードプレイヤーを中心としてコンポを作っていた会社も、 新製品の開発を急がなければならなくなり、 レコードのジャケットを作っていた会社もCDに合わせたジャケットの開発を始めました。 CDケースを作る会社や、CD関連商品を作る会社には新たな仕事が生まれました。 破壊的イノベーターは破壊するだけではなく、 必ず新たな産業の創出とセットとなっています。 そして、産業構造を破壊したCDプレイヤーも今やデジタルプレイヤーの登場により、 姿を消そうとしています。 新しい技術による新機軸(イノベーション)によって、 産業構造が変えられた例は枚挙にいとまがありません。 また、人々は新たに手に入れた技術は、それを超える技術革新が現れるまで、 容易には手放しません。 技術革新とは、決して戻ることのない不可逆です。 この様に、破壊的イノベーターは、日々登場し、産業構造を変革し続けています。 あまりにも大きすぎる破壊的イノベーターは、 産業の大変革(パラダイムシフト)を引き起こします。 たとえば、現在、各自動車会社が開発中の電気自動車です。 車の動力源がガソリンから電気に変わっただけのことで、 どれだけの産業の変革をもたらすでしょう? まず、自動車と言うものは、複合化された産業の頂点にいる製品だという点です。 自動車を製造するためには、エンジンなどの金属の加工技術はもちろんですが、 ハンドルなどはプラスチック加工技術、シートやシートベルトなどは繊維技術、 オイルなどは化学技術、さらに高度な電子技術が必要で、 それぞれの分野の頂点の技術が合わさることで、一台の自動車と言う製品が生まれます。 発展途上国が自動車の自国生産に力を入れるのも、 自動車を生産できるようになるためには、国内のすべての産業の底上げにつながるからです。 話を戻して、自動車が電気で走るようになれば、 当然エンジンとガソリンは必要なくなります。 真っ先に消えるのは、エンジンの工場です。 また、エンジンを生産するためには、 工作機械が必要ですが、この販売数も減ります。 どのくらい減るかと言うと、工作機械の自動車業界への販売依存度は、 工作機械の売り上げ全体の42%です。 ギヤやブレーキ、サスペンション回りは残るでしょうが、 それでも一番工作機械が必要な部分は、やはりエンジン回りです。 それらも勘定に入れて、ざっくりですが、30%売り上げが落ちたとすると、 工作機械メーカーの何社かはステージを降りなければならなくなるでしょう。 ちなみに記憶に新しいリーマンショックの時に、工作機械メーカーが被った、 売り上げの落ち込み率は、42%と言われています。 ガソリンスタンドは充電スタンドとなり、 石油化学メーカーも売り上げが落ち込むことをすでに認識しています。 そのため、最近テレビCMなどでよく聞く、 「エネファーム」など家庭用燃料電池などに力を入れて、 自動車に代わる市場を確保しようとしているのです。 まさに電気自動車は、今世紀最大の破壊的イノベーターになりうる存在です。 電気自動車がガソリン車並みに普及すれば、新たな産業を創出します。 まず、電気自動車の心臓部であるモーター産業。そして動力源である電池産業です。 ガソリンエンジン車の場合、構造が非常に複雑だったため、 既存の自動車メーカーしか自動車の生産が出来ませんでした。 しかし、電気自動車は構造が単純で部品点数で言えば、 ガソリン車の1/3程度しかありません。 そのため、町の小さな工場でも生産が出来、 新たな自動車メーカーの誕生もあり得ます。 現に、アメリカのベンチャー電気自動車メーカー「テスラモータース」も、 もともとはシリコンバレーにあるIT関連の会社でしたが、 今ではトヨタと業務提携を行うまでの会社に育っています。 これからも、テスラモータースのように、 新たなプレイヤーが市場に参入してくることでしょう。 このように破壊的イノベーターは、産業の発展に不可欠な存在です。 防犯、監視カメラの卸販売