ブルーオーシャン戦略 その二

Eメール 印刷 PDF

東京支店のヒノッピーです。

今日は、前回から引き続いてブルーオーシャン戦略についてお話しします。

ブルーオーシャン戦略の法則として、今まで常識とされていたものを無くしてみて、そこに何かをプラスすることによって、新たな価値を顧客に提供し、競合のいない自由な市場でアドバンテージを取ると申しましたが、もう少し具体的な例についてご紹介します。

アイフォン、アイパッドなどの新型端末

すでに皆さん、お使いの方もいらっしゃると思いますが、アップル社のおなじみのあれです。
これらは、今まで携帯やノートパソコンで常識であった、入力キーを無くし、画面上でタッチ若しくはアクションによって入力できるという新しい方式を採用しました。
これによって創造できた新たな価値は、スタイル、携帯性、直感による操作性などです。

実はわれわれ消費者にはあまり関係ないのですが、アイパッド開発から無くされたものが、入力キーの他にもうひとつあります。
しかもそれは、このカテゴリーの製品のキモとなるものです。

正解をお出しする前に、もう少しだけひっぱります。

通常、これら電子デバイスの開発において、メーカーは独自の研究を重ね、開発コストをかけて、じっくり時間もかけて、製品化をします。
それまでの常識では、それら独自の技術が企業の持つコアコンピタンス、他社にまねのできない技術であり、強みだと信じられていました。
そのため、メーカーは、核となる部品の開発にコストも、時間も、もっとも注力します。
そうすることで、簡単にはまねのできない、メーカーの優位性を保ち、市場の独占を目指すものでした。

しかし、アップル社の開発は違います。

アイフォンもアイパッドも、アップル独自の技術は、実は一つもありません。

タッチパネル技術、傾きを検知するセンサー技術は、全て他社から普通に市販されている部品でした。
それらを組み合わせて製品を作ることにより、開発にかかわるコストを大幅にカットするとともに、製品発表のスピードも大幅にアップすることが出来ました。
つまりアップル社が無くしたものは、独自技術開発という、それまでの電子機器メーカーがコアコンピタンスと位置付けていたものです。
そのかわり、同社は、各部品の複合化技術をコアコンピタンスと位置付けたともいえます。
またそのデザインの先進性で、アップルは電子機器を、バッグや洋服の様なブランド化に成功したともいえるでしょう。

これは、それまでソニーなどが固く信じていた、コア部品の自社開発優位性に対するアンチテーゼでした。

現実には、ソニーなどの業績の悪化は、開発コストが利益を大きく圧迫して、結果として値引きも出来ず、価格競争力の低下が一因となっています。

現在、多くの企業は、自社工場を持たず、アウトソーシングするファブライト化(工場の軽量化)をすすめ、在庫も出来るだけ持たず余計な資金を使わないアセットライト化の方向にかじ取りをしています。

ちなみに余談ですが、我が日本防犯システムも、ファブライトを進めてコストダウンをはかり、より高い性能の製品を、低価格でお客様に提供し、ジャストインタイムで商品をお届けすることで在庫を減らすアセットライトに力を入れています。

このように、近年ヒット商品と呼ばれている物の多くは、常識の壁を突き破り(ブレークスルー)、誰もが必要と信じて疑わなかったものを取り去り、誰 も考えつかなかった、消費者でさえ欲しかったことに気がつかなかったような、新たな価値を与えた、ブルーオーシャン戦略に当てはまると言えます。

防犯、監視カメラの卸販売