どの時よりも賛成の声が高くなった差別禁止法

2021年 3月 01日(月曜日) 17:34

[天地日報=ホン・スヨン記者] 差別禁止法に対する議論は1、2年続いて来たわけではない。しかし、コロナ禍を経験した韓国社会では差別禁止法の制定に対する声がどの時よりも高い。

国家人権委員会(人権委)が、去る6月24日アンケート世論調査企業であるリアルメーターに依頼して得た「2020年差別に対する国民認識度調査」の結果を発表した。

調査結果によると、「コロナをきっかけに、誰かを嫌悪して差別する自分の行為が結局はブーメランになって返って来る」、又は、「自分もいつでも差別の対象や少数者になり得る」という考えをした事があるかという質問に対して応答者の91.1%(すごく多くした19.8%、少しした53.2%、今そのような考えがある18.1%)がそのような考えをした事があると回答した。

実際、コロナ禍を経験しながら、韓国社会では差別と嫌悪が赤裸々に現れた。去る5月、梨泰院のクラブ集団感染当時、性的少数者らがよく訪問するクラブから感染者が出たという事実が報道され、社会的に相当な差別・嫌悪発言が注がれた。

自浄能力を見せなければならないメディアも、一部は世論に便乗し刺激的な題目と内容で性的少数者らに対する批難を大きくする事もあった。実際の性的少数者らは「アウティング(本人の意思と関係なく、強制的に性少数者である事が明らかになる事)」をされるかもしれないという不安感に捕らわれて恐怖に怯えた。

また2~3月の新天地イエス教会証拠幕屋聖殿(新天地教会)の大規模集団感染の場合にも状況が似ていた。新天地教徒らは特定の教団に属しているという理由だけで、後ろ指をさされる対象になった。新天地側は、今回の事態によって発生した人権侵害が5200件余りに至るという統計資料を出す事もあった。当該資料によると、多くの者が職場から解雇され、特に家庭内での葛藤によって、教徒2名が自宅から飛び降りて死亡する事もあった。

差別と嫌悪の視線は、特定の集団にだけ現れたわけではなく、個人を対象とする問題も現れた。政府が防疫のために公開した感染ルートを見て、感染者の身元を特定し「不倫」だと批難する事や「ホステス」ではないのかというフェイクニュースが広がる事もあった。

このように、誰でも差別の対象になるという事実を悟ると、これを根本的に防ぐ差別禁止法が必要だという認識も広まった。人権委の調査で「韓国社会の差別は深刻なレベル」という回答は82%、差別をこのままにしておくと「社会的な葛藤が深まるはず」という回答が72.4%、「犯罪をもたらす」という回答は81.4%となった。

これによって、国民が差別を「その解決のために積極的に努力を尽くすべき社会問題(93.3%)」として認識するようになり、平等権保障のための法律制定など、制度的に補完が必要だという項目には88.5%の人々が同意した。これは1年前に実施した「嫌悪差別国民認識調査」の結果である72.9%より15%程が増加したことになる。また、「政府レベルでの総合的な対策の樹立」が必要だという項目には87.2%、国民認識の改善教育・キャンペーンを強化しなければならないという項目には91.5%が賛成した。

さらにアンケートによると、国民は単純に制度的な補完だけを語ったのではなく、平等権に対する高い理解も持ち始めた。「全ての人はその尊厳と権利において、平等な存在(93.3%)」や「性的少数者も他の人と同様にその尊厳と権利において平等な存在(73.6%)」という回答もとても高く出た。

これを機に、人権委は去る6月26日、略称を「平等法」に変えた「平等、及び、差別禁止に関する法律案」の立法推進に出た。

韓国人権委は「人権委が2006年、政府に差別禁止法の制定を勧告して以後、数回の法案が発議されたが、未だに成立に至らなかった」と言い、「平等の原則は基本権保障に関する我が憲法の核心原理」と明かした。

続いて「経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で我が国と日本を除いたほとんどの国に既に平等法が存在する」と言い、「我が国は多数の国際人権条約の当事国として、国際的に合意された人権規範を国内で実現する責務がある」と指摘した。

国会も差別禁止法の成立に出た。正義党のチャン・へウォン議員を代表に、正義党の議員6名全員と与・野党の議員4名など、総10名の署名で差別禁止法を発議した。

これを見ると、差別禁止法、又は、平等法がすぐにでも国会で通りそうだが、反対の声は未だに根強く、特に保守プロテスタント界などの反対は頑強である。

これに同調する一部の市民らは差別禁止法が通った場合、「同性愛に反対するだけで、処罰を受ける」などの確認されていない情報を広めるケースもある。今もNAVERなどのポータルサイトで差別禁止法を検索すると反対者らの意見を多く見る事ができる。

発議された差別禁止法が国会を通る事も容易ではない。人権委の02006年の提議によって、17〜20代の国会まで毎回発議された差別禁止法は、反対の声にぶつかり、毎回国会の門を超える事ができなかった。どの時よりも法の制定に対する賛成の世論が高いというものの、結局、国会議員らが強い反対意見を超えて賛成票を投じられるかが課題である。

これに対して、正義党は去る6月から、民主党と未来統合党に3党共同討論会の開催を提案するなど、反応を導き出すために努力を続けている。

法案を発議したチャン委員は女性・児童人権フォーラムや差別禁止法の意義を説明する国際カンファレンスを開くなど、国会の世論戦の先頭に立っている。

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