防疫なのか保安なのか…まな板にのった個人情報

2021年 3月 15日(月曜日) 19:31

[天地日報=ホンスヨン記者]新型 コロナウイルスが拡散するなか、個人の情報公開の範囲について、議論が続いている。感染予防と個人情報保護の間で「正解」を見つける事は簡単な事ではなさそうである。


◆入店者名簿を密かに撮影する犯罪行為

9月24日、鍾路警察署は前日午後7時30分頃、ソウル鍾路区益善洞のある飲食店で客を装い出入者の名簿を携帯電話で撮影したA(29)氏を建造物侵入嫌疑で調査した。

A氏の携帯電話には別の店の入店者名簿の写真も発見されたと伝えられた。

先立って、韓国では8月30日からソーシャル・ディスタンスの段階が2.5段階に格上げされ、首都圏の飲食店・カフェなどの大衆利用施設で出入者名簿の作成が義務化された。問題はこの事件のように、個人情報流出である。

QRコードを利用した電子入店者名簿システムを活用すれば、個人情報流出を予防できるが、導入の難しさから手書きでの入店者名簿を作成している店が多いのが現実である。

この恐れから政府は方針を変え、手書きの入店者名簿に名前を書くことを不要とした。

個人情報保護委員会(個保委)は「姓名を除外して、疫学調査に最低限必要な携帯電話番号と市・郡・区だけ記載して個人情報の収集を最小化する」と説明した。

京畿道高陽市は指定された電話番号に電話すれば、通話した入場者の電話番号と訪問日時などが市役所のサーバーに自動保存される「安心コール入場管理システム」を市場などに導入した。保存された情報は4週間後には自動廃棄される。このような電話方式はQRコードに慣れていない年配者も簡単にできるという点で好評である。この他にも多くの自治体がそれぞれの方法で個人情報保護をしている。


◆感染者個人情報の過度漏出?

個人情報論争は入店者名簿だけではない。感染者の動線公開過程で個人情報が過度に漏洩するという問題も依然としてある。

個保委は8月24日から28日までの4日間、全国243箇所の地方自治体のホームページを全数調査した結果、感染者の移動経路に個人を識別できる性別と年齢・住居地などの情報が含まれた事例が394件に達すると明かした。

中央防疫対策本部は7月から性別・年齢・国籍・居住地・職場名など、個人を特定する情報は原則的に公開しないように各自治体に要請したが、まだ不十分な部分が発見されたわけである。

去る2月、新型コロナウイルスが全国的に拡散した当時から感染者の個人情報が公開される事は社会的な議論を生んだ。

新天地イエス教証拠幕屋聖殿(新天地)の信徒らも、このような被害を受けるケースがあり、特に5月の梨泰院クラブ発の集団感染の状況では一部のメディアが「ゲイクラブ」と称する事で性的少数者に対する非難が大きくなった。これに対して、韓国社会の弱者に対する保護が足りないという指摘も提起された事がある。また、去る7月には感染者が訪れたという間違った情報によって、客が来なくなり、廃業に追い込まれた釜山の飲食店の事例も報告された。


◆専門家「新型コロナウイルスの後に本格的に議論が行われるだろう」

入店者名簿の手書き方式と感染者の動線公開などの個人情報論争と関連して、キム・スンジュ、高麗大学情報保護大学院の教授は天地日報に「公益が優先か、それとも、個人のプライバシーを優先すべきなのかに対して、まだ正解はなく、世界各国がその答えを見つけるために努力している」と説明した。

続いて「アメリカはこのような論争がクリントン大統領の時から続いて来た。しかし、未だに答えを見つけていない。それほど難しい問題だという事」と語った。

そうしながら「しかし、重要なのはメディアがその時、その時の議論によって、片方の意見だけを載せるのではなく、続けて公論化しようと努めているという事、またこの問題に対する議論は新型コロナウイルスが落ち着いた後、本格的に行われるだろう」とメディアの自浄努力の必要性を強調した。

未だに、新型コロナウイルスの防疫に集中する状況の中、「前兆段階」という点を指摘した趣旨と解釈される。

出所:天地日報
http://www.newscj.com/news/articleView.html?idxno=785634

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