1巻が発売されたコミックスの中から、編集部と書店員のお薦めマンガを紹介する「はじめの 1巻」。今回は、英国のアリス・マリエル・ウィリアムソンの小説「灰色の女」を基に明治時代の思想家・黒岩涙香が翻案した小説「幽霊塔」をベースにした乃 木坂太郎さんのサスペンスホラーマンガ「幽麗塔」で、「ビッグコミック スペリオール」(小学館)で連載中です。
昭和27年、数百年もの間、動かなかった時計塔で老女がその養女に惨殺された。その2年 後、下宿の家賃を払うこともできない無職の男・天野は、ふらふらと出かけた町で昔の同級生でマドンナ的存在だった花園に出会う。しかし花園に紹介された婚 約者は学生時代に天野をいじめていた金持ちの三村だった。三村に嫉妬(しっと)した天野は「僕も今度結婚する。おじの遺産が入った」などとうそをつくが三 村に突っ込まれ、万事休す。そこへ見知らぬ美青年がまるで執事のように「お迎えに上がりました」と助け船を出し……という物語。
◇編集部からのメッセージ ビッグコミックスペリオール編集部 石田貴信さん「涙香版とは違う結末も」
既刊累計1000万部を突破した大ヒット作「医龍」。その乃木坂太郎氏が送る渾身の新作が、この「幽麗塔」です。
舞台は、昭和29年の神戸。ニートの天野は幽霊塔で白い何者かに襲われ死の寸前、謎の美青年テツオに救われます。テツオはこう言います。「幽霊塔の財宝探しを手伝えば、金も名誉も手に入る」。しかしテツオの正体は、男を装う女であり、その名も偽名です。