津軽 古川味噌店 昭和23年

2012年 10月 04日(木曜日) 15:30

昭和23年の春頃、県の配給係官は私の工場へ突然来られていた。
係官の云うのには、県では味噌の家庭配給が心配されて今迄の統制会社から月報だけでなく
生産者の蔵を回って在庫の実体の調査が進められて確実の線を掴もうとして居るのであって
それだけに県としても配給に対して一抹の不安があるからであるのは云うまでもありません。
  (中略、多くの人が高い闇値、一貫目二百八十円売値の方に品物を流していて云々)
 統制会社から出荷を指示された分に対してそれに応じて原料が配給される仕組みになっていた、
即ち還元配給とも云うべきであったから、  (中略)
 然し配給へ味噌を出荷すると無論安いが実績を買ったと思えばそれが永久に配給原料の基礎となって
行くからと思われて、  (中略)
 近くの同業者へも、君も出荷したら如何かとそれとなく奨めていたが彼の云うのには、大豆一俵五千円
(闇値価格?、日々高値を更新したようです)も出して造られた味噌であるから一貫目の原料原価だけでも
少なくとも二百五十円にもなって居る様にも思われてそれを配給となると僅かに一貫目五十円であっては
余りにも大きな損でと、折角の私の奨めを断られて居た。  (中略)
 その後、私の家から多くの味噌が出荷されて居たのが近くの人や同業者が見られて、今迄一生懸命に
なって造って蓄えられて居た味噌が配給へ出荷されて居たから恰も 「耳くそ取りで集めてスコップで
投げる」とはこの事かと、半ば冷笑して居た人も多かったと噂が私の耳にも入って居りました。 (中略)
 
 味噌が殆ど出荷されて二カ月も経った頃、統制会社から特配として大豆粉であったが豆の一俵相当分が
僅かに二百八十円で参百俵の配給の通知が開いて見て驚かれてこれを妻へも見せて意外さが一杯であった。
私も最初から期待がしないでもなかったがあまりに数量の多さにビックリされて居た。
 通知があってから間もなく五所川原から馬車に五台も積まれて恰も行列をなして来られたのが私の家に着かれて、通知とはまた違った驚きであった。近くの人も近くの同業者も皆驚きの目を見張って居たであろう。

(昭和17年、弘前味噌組合入会時は前年実績が無いので年間わずか二俵の配給だったそうです。)
 
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